先週お話ししました「歩いて楽しいまちなかゾーン」。
おさらいをしながら、もう少し考えてみます。
京都市(担当:都市計画局・歩くまち京都推進室)が
「歴史的都心地区」と呼ぶエリアは
御池通〜四条通、烏丸通〜鴨川の範囲です。
「歩いて楽しいまちなかゾーン」は
この「歴史的都心地区」の細街路を
安心して安全に歩ける道路にすることを目標としています。
具体的に講じられている対策は、以下のとおりです。
(1)路側帯の白線を移動し、車線部分の幅員を減少する。
(2)路側帯の車線側(両側)に、自転車レーンを設ける。
(3)交差点付近で路側帯内などに着色舗装、車止めポールなどを設置する。
<交差点の車止めポール/東洞院蛸薬師:北東>
ここで意図されていることは、以下の効果だと考えられます。
a:路側帯幅を拡大することにより、歩行者空間に余裕を持たせる。
b:自転車レーンを設けることにより、自転車を自動車、歩行者から分離する。
c:車線幅を減少させることにより、自動車の走行速度を低減する。
基本的な発想は
「歩行者」「自転車」「自動車」に、それぞれ
別の通行区分を与えて「分離」することによって
「安全」を確保する、ということです。
ここで考えるべき事柄は、以下のように整理することができます。
A:このような区分が遵守されれば、安全は確保できるのか?
B:このような区分を遵守することが、現実的に可能か?
C:このような区分よりも、より効果的な安全確保策はないのか?
まず、A:について。
自動車の車線と歩行者空間との間に、自転車レーンが介在することにより
歩行者と自動車が交錯する機会は減少することが期待できます。
しかし、自動車と自転車、あるいは自転車と歩行者が接触する機会は
むしろ増加するのではないでしょうか?
次に、B:について。
歴史的都心地区の細街路では、現状でも
路側帯(歩行者空間)を占有する路上駐車が多数、発生しています。
これは、道路前面に空地(駐車余地)を持たない建物が多数あるためです。
また、京都市では沿道での店舗立地や京町家の保全・活用を奨励しています。
つまり、路側帯を占有する路上駐車は今後もなくなる見込みはない、ということです。
そうした場合、歩行者は当然、自転車レーンや車線内を歩行することになります。
そうすると、多くの場所で、上記の区分の遵守が不可能になる、ということです。
<路側帯を占有する路上駐車/民地内を歩く人/東洞院四条上る>
最後に、C:について
細街路における歩行者の安全上の最も深刻な問題は
自動車の通行量の多さと、自動車の走行速度の高さです。
また、これとともに大きな問題と考えられるのが「自転車」の無秩序な走行です。
今回の施策では、上記のように自転車レーンを両側に設けて
それぞれ「左側通行」を促す「矢印」が記されています。
しかし、現状で、左側通行を遵守している自転車は、皆無と行っても良いでしょう。
このような状況では、たとえ車線区分が遵守されたとしても
自転車どうしの衝突の危険は、むしろ増えると考えられます。
<路上駐車/路側帯を逆行する自転車(こども)/東洞院蛸薬師上る>
結論を言いましょう。
私は、この「歩いて楽しいまちなかゾーン」の試みは
成功しないし、間違っていると思います。
では、どうすれば良いでしょうか?
以下は、私の私的な意見であり、提案です。
1.細街路の全面的な「歩行者優先」化
すべての細街路を「歩道」に準じる「歩行者優先道路」とします。
ここでは歩行者が「絶対優先」で対歩行者の事故の罪責は全面的に車両側にあるものとします。
ここを走行する自動車、自転車は「例外」として認められるものに限ります。
走行速度は、極めて低く(例:20km/h以下=徐行)に制限します。
2.最低限の路側帯の「絶対不可侵」
歩行者が通行および対向する最低限度の路側帯(例:幅1m)内は
駐停車を含めて、車両の進入を一切禁止します。
車両の走行および駐停車は路側帯を除く部分でのみ許容します。
3.自転車の「一方通行」規制
自転車は、自動車と同等の「車両」として扱います。
そのため、自転車もまた、一方通行規制を遵守しなくてはなりません。
また、自転車も最低限度の路側帯内を通行、または駐車することは許されません。
4.幹線道路で対面する細街路の、一方通行方向を逆に
歴史的都心地区を囲む幹線道路(御池通、四条通、烏丸通)を挟んで
対面する細街路の一方通行の向きを逆にします。
これによって、幹線道路を横断する「通過交通」を排除します。
簡単に言うと、
歴史的都心地区の細街路は「歩道」であり
そこに進入する自動車や自転車は、そこを通ることが必要不可欠な
最低限度に制限し、歩行者を妨げず、危険にさらすことのない
十分に低い速度(徐行)で、ゆっくりと通行する、ということです。
そして、当然重要なことは
こうした車両への制限や規制が遵守されるよう
法制度を整備し、その運用(監視、取締り、検挙、罰則適用など)を
厳格に行うことも必要です。
私は、今回の「歩いて楽しいまちなかゾーン」のような
いわば、自動車や自転車の自由な走行を前提とする
「小手先」の対策ではなく、
新しい「歩行者のための細街路」を再定義し
道路交通法などのルールそのものを改めることを含む
抜本的な改革が必要だと考えます。
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